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『イシューからはじめよ』は研究をする大学生に読んでほしい本

イシューを設定するのって難しいですよね。

安宅和人著『イシューからはじめよ 知的生産の「シンプルな本質」』では、イシューの本質に迫り、タイトルにもある「イシューからはじめる」という考え方について書かれた本です。

私は、修士課程の大学院生として、この本を読み、共感をすることが多く、ぜひ研究をしている人、論文を書いている人にオススメしたい本だと思います。

本書に書かれている概要と、私が実際に研究をしながら感じていることを述べながらまとめたいと思います。

イシューの質を上げる(序章、1章)

まずはじめに、「イシュー」とは誤解を恐れずにいうと、「解かなければいけない問題」のことです。詳細な定義は序章に出てきますので確認してみてください。

著者は、イシューの質を上げることが重要と言っています。つまり、「解かなければいけない問題」が重要であり、問題を見極めることが重要になってきます。

ただし、一方で、本の中で「答えが出せるかにこだわれ」ともしています。これは、一見矛盾しているように感じる方もいるかもしれません。これは、あなたが見極めた問題は極めて解決をしなければいけない問題であるからです。つまり、見極めた問題は非常にプライオリティの高い問題であるため、様々な方法で答えを出す必要があり、これにこだわるべきなのです。

また、答えがでない、またはっきりしない問題はイシューとしては不十分です。より噛み砕いて考える必要があります。

そこで、イシューの質を上げるには、仮説を立てるかが肝心です。もし設定したイシューの仮説が立てられない、どんなデータを取ればいいのかわからないなどの問題を感じるのであれば、イシューをより深くブラッシュアップする必要があります。

仮説とイシューの修正を行ったり来たりしながら、イシューの質を上げる必要があります。

さて、序章では、「一次情報をつかむ必要がある」としている。私の研究科では、基礎能力としてフィールドワークの実施ができることというのがあります。

デザイン思考においても、フィールドワークの必要性の高さは語られているが、研究においてもフィールドワークによる一次情報は重要です。

自ら足を運び、環境に触れ、感覚的に分析することは非常に重要で、私の中では、人の行動、とくに動詞で表されるものにかなりの重要度を置いています。誰がどのようなシチュエーションで何を行ったかを感じ取り分析することで、その観察対象の人をより細かく分析し、問題を洗い出します。

一次情報からから導き出されたイシューやストーリーは伝わりやすく、より多くの人に共感を得られるでしょう。

ストーリーと仮説を立てる(2章、3章)

それでは、仮説を立てるにはどうすればいいでしょうか?どのような研究でも仮説は必須と言えるでしょう。

仮説が論理的に整理されていれば、データがない状態でも、その研究ではどのような結果(ゴール)が期待できるかが想像できるものです。

そこで作る必要があるのがストーリーです。具体的な構成としては、主題である「イシュー」があり、それに基づくサブイシュー(仮説)があります。仮説ではどのようなデータを期待し、どのように分析(比較)することで、何を示したいかを整理しストーリーとします。

本の中では、「仮説ドリブン」として、仮説に基づくデータの分析について書かれており、ストーリーの立てる方法として、絵コンテを作ることを推奨しています。

どのようなサブイシューに対して、どのようなグラフを期待し、どのような分析手法や情報収集を行うかを絵コンテのように並べて整理をしていく方法です。

ストーリーはある一定以上の研究(特に問題解決系)では重視される傾向にあります。

将来その結果がどのような人たち(集団)に影響を与え幸せにするのか、どのような文脈で効果を発揮するのか(または、させたいのか)、を整理するとより良いと思います。

しかしながら、研究テーマ決定の面白いところで、いくらストーリが良くても、研究の内容がおかしな方向に行くことも多く見られます。そこでは必要のない情報の整理と、必要な情報の整理を仮説とともに組み立てることが重要だと感じています。

アウトプット(4章、5章)

ストーリーと仮説が出来上がったら、最後はアウトプットを行う必要があります。研究の場合は、研究会や学会、仕事の場合は上司や取引先などです。

今まで組み立ててきたストーリーを用い、そのストーリー通りに資料をまとめていくことで資料が出来上がります。

この本でとても参考になったのは、続けて同じようなグラフを使わないように気をつけるということです。確かに、同じようなグラフを何枚も連続で見ると、理解するのに時間がかかり、資料に集中してしまいます。ですので、グラフは同じようなものが重ならないようにストーリーから組み立てるわけですね。

特に図表というものは、影響力の大きいものであるので、伝えたいメッセージ(仮説とその結果)をタイトルと図表で支える必要があるのです。

私は、メッセージを発表スライドでは大事にする必要があると考えています。スライド作りについては下記の記事にまとめたのでよかったら参考にしてみてください。

まとめ

『イシューからはじめよ 知的生産の「シンプルな本質」』を読んでみましたが、大学や大学院での研究生はもちろん、プロジェクトを進めるにあたって大変必要なエッセンスが入っていたと感じます。

私は、サービスデザインや研究などを行なっていますが、ストーリーを組み立てる重要性は肌で感じています。このような活動をする上でイシューの大切さやストーリーの組み立て方について再確認できました。

読んだ感想としては、ストーリーなどを気にしない人が多いと感じているエンジニアリング系の学生に是非とも読んでいただきたいと感じました。

また、新入社員の方にも、これからプロジェクトに携わっていくという方にもおすすめの一冊だと思います。