『雑誌のデザイン』という刺激の強い本

『雑誌のデザイン』を軽い気持ちで読んではいけないと思った。
雑誌のデザイン
『伝わるデザインの思考と技法 雑誌のデザイン』は、誠文堂新光社から2016年10月に発行された本です。
10名を超える雑誌の編集長やアートディレクターの雑誌を作っている人たちの生の声が書かれたている本です。
雑誌の中には、多くの紙面の写真とともにそれぞれの雑誌制作側の熱い想いが書かれている本です。
雑誌のデザインの真剣さが伝わってくる
現代、特にiPadのようなタブレットが普及し始めた現代、本や雑誌が電子書籍化し、実際に雑誌を手にとって買う人がすくなくなりました。かく言う私もその一人で、雑誌は気になった装丁のもので本当に気になったものしか買いません(FUGEとか)。
『雑誌のデザイン』で登場するアートディレクターなどの雑誌制作者たちは、この電子化の波に危機感を感じていると感じました。
一冊一冊がどのように制作され、どうすれば手にとってもらえるか、どんなデザインにすれば、他と差別化することができるかが述べられています。
私が書かずとも、読んでいただければ、雑誌の思いは伝わると思いますし、雑誌に対する熱意は書かれていて当然だと思います。
私がとても刺激的だと思ったのは、真剣さが故の作成者側の考え方です。
例えば、雑誌の顔となるような、表紙のキャッチコピーがどのように生まれ、どのように雑誌が育ってくるのか、フォントはどのように決められて行くのかなどです。
私が感じたのは、想像以上に固くルールでフォントやフォントサイズ、色など縛られていないと言うことです。それよりも言語化された誰でも共有できるイメージの方が大事なのだと感じました。
どのようなフォントだとテーマを伝えられるか?や、どんな背景色にすれば商品が際立つのか、どうすれば、よりアナログな感じにイメージを持っていけるのかなどです。
私は、スライドをデザインすることが比較的多いので、時間短縮のために、ほとんど形式的に決めて簡略化をしています。ですが、『雑誌のデザイン』を読んで、雑誌というある程度短いスパンで発行されるものにも一切の妥協がなく、むしろ毎回進化をしているというところに驚きと、プロフェッショナルを感じました。
自分にとって重要な案件であればあるほど、スライド一枚一枚に熱意を持って、テーマを持って作っていきたいと感じさせてくれました。
また、デザインの一貫性の美学はあらかじめコンセプトの中で決められた色やフォントではなく、生み出される一作品を通して生まれるものだと再確認をしました。
最後に
読んでみて、感想を書いてみると、ものすごく当たり前だと感じるのですが、これが言語化され、ストレートに生の声が伝わってくるのは、この『雑誌のデザイン』ならではだと思います。
デザイン系を目指したり取引をする人には是非とも読んでほしい一冊だと感じました。
この『雑誌のデザイン』は視覚伝達ラボ・シリーズとして、『文字のデザイン』という本も発売されています。